たかが喧嘩で時代を感じる

先日、小学校4年生になる甥が、学校で友達と喧嘩をしてしまったと言う。
誰かがイタズラをしたとか何とか、発端は子供によくあるくだらない話で、担任の女教師が「誰がやったの?」と子供たちに尋ねたところ、松田の子供が、何一つ関与していない我が家の甥の名前を挙げたらしい。

ちなみに松田と自分は同級生で、帰省をするたびに会う仲だ。
よって、松田の子供とも何度も顔を合わせているし、松田の子供が風間家へ泊まりに来ることだって珍しくない。
要するに、松田家と風間家は良好な関係を築けている。

「○○くんです!」と、甥の名前を連呼しながら笑った松田の子供。
「違うよ、俺、その場にいなかったろ」と反論する甥。
それでも、松田の子供は「○○くんです!」と繰り返し、甥を挑発した。
松田の子供は、ふざけただけかもしれないが、甥は何度も自分の名前を挙げる行為が許せず、松田の子供の席へと行き、松田の子供の頭を叩いた。

「随分と野蛮だこと…」
その話を適当に聞き流していた自分に、その話はつまらない話にしか聞こえなかった。子供同士、ましてや男の子供同士だ。自分が幼い頃、そんな光景は日常に過ぎなかった。

「その日の夕方に、担任の先生が家に来て、興奮しながら捲し立てたんですよ。本来なら、これは警察沙汰ですよ!!」って。
そう言われた母(甥から見た祖母)は、うっかり「はあ?」と返してしまったらしいが、本来なら母の無礼を率先して詫びる義妹(甥から見た母)のアサちゃんも、一緒になって「はあ?」と口走ってしまったらしい。

残念ながら、風間家は上流階級とは程遠く、この程度で警察沙汰なら、一家まるごとお世話にならなくてはならない。
松田の子供と喧嘩をしたことは、甥の口からアサちゃんの耳にも入っていたが、いつものことだと思い、いちいち気にも留めず、放置していたらしいが、警察沙汰だとヒステリックに騒がれ、大怪我でもさせてしまったのではないか?と、慌てて松田の奥さんに電話を掛けると、松田の奥さんは電話の向こうで、呑気な声で言ったらしい。

「あ、アサちゃん。ちょうど良かった!電話しようと思っていたのよ。温泉の回数券、使う?あと7枚あるの。え?何?喧嘩?聞いてない。怪我?していないと思うよ。してたら言うでしょ。もしかして、そんなことでいちいち電話して来たの?それより、回数券の有効期限が今日までだから、取りに来れる?」

そりゃそうなるって。
松田と自分も幼い頃は、週に何度も喧嘩をして、頭を叩くどころじゃ済まないバトルになったこともある。
たとえ松田が忘れやすいタイプだろうと、自分の怨念に時効は無いから、今からでも警察に突き出してやりたいくらいだ。

しかし、女教師はその後も、何かあるたびに「先日の暴力事件は」と口に出すそうだ。
そして女教師の色眼鏡を介すと、甥は野蛮キャラと定着してしまい、何をしても気に要らない存在に成り下がった。
例えば、甥はどういうつもりか鉛筆を両側から削っているが、それを筆箱から奪い取り、全員の前で「鉛筆は、片方だけ削ること。○○くんみたいに、両方、削った鉛筆は持って来ないように」とわざわざ言うらしい。
そんなことを全く気にしない甥(少しは気にしろよ)の口から、そのような出来事の一部始終を聞かされることはないが、松田の親や他の父兄が、そう言われているんだってよ、と教えてくれるらしい。

これが都会なら大問題に発展しそうな勢いだ。親が学校に乗り込むケースも考えられる。
もちろん、それは「よその子供に叩かれた」と言って乗り込むケースも考えられる。

しかし、甥どころか弟やアサちゃんまでも、女教師の立ち振る舞いを気にしていない。
「あれ(甥)を朝9時から午後3時まで預かってくれるだけで、頭が下がるから何も言えない」
そう言って、逆に学校というシステムに感謝さえしていると言っていた。

先日、松田が東京へ来たので、その時、松田に謝った。
「なんかさ、甥が松田の子供を叩いたんだって?ごめんね」
松田が笑いながら言う。
「いいよ、いいよ、そんなこと。覚えてる?俺なんて小学校の時、おまえに砂を食べさせられたからね
「違うってば。松田が砂を食べさせたんじゃん!」
「違うよ、記憶をすり替えるなって。砂も食べさせられたし、頭だって叩かれた!」
「絶対に違う。先に暴力を振るったのは松田だって。頭に来た!警察に行って来る!

甥や松田の子供も大人になったら、こんな話をするのだろうか。
仲の良い者同士の喧嘩は、警察沙汰じゃなくて楽しかった頃の想い出なのだと、担任にも知って欲しい。

子供夕焼け

昨今は境界線が難しいから先生も大変なんだろうね…。

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