風と共に去りぬ

4年前、私の身に起きた不可思議なことについて。

その頃、私は福岡に住んでいた。いわゆる赴任だ。
滞在先の福岡から東京へ一時的に戻って来た日の夜、2週間ほど閉めっぱなしにしていた部屋の換気をしようと、夜中なのに防犯用のシャッターを開けた。当時、住んでいたマンションは4階建てで、私はその1階に部屋を借り、大きな窓と防犯シャッターを開けると部屋専用の小さな庭が広がっていた。庭とは言うものの、誰でも簡単に出入りができるようになっている。一応は、石段で囲いがしてあり、良識のある人間なら足を踏み入れることはない。
秋だったと思う。まだそんなに寒くもない時期。だから、一晩中、換気をしながら眠りに就いた。

秋

翌朝、窓を閉めようと庭をチラリと見ると、でっかいウンコが落ちていた。
どれほどの大きさかと言うと、あまりの大きさに二度見をしてしまったくらいの大きさだ。

庭には土ではなく、白い小石が敷き詰められている。同じ大きさに整えられた綺麗な石だ。白い小石が広がる向こうには緑の植物が植えてある。植物は秋になっても緑の輝きを衰えさせない。
ええ、ですから、茶色のウンコは非常に目立つんです。

随分と手の込んだお出迎えだこと…。
犬?猫?それとも…ヒト??
昔、実家で飼っていたスピッツは小型犬ゆえか、あまりに大きなウンコはしなかった。明らかに、それよりも大きいサイズのウンコで、さらに言うと私が日常、大腸から絞り出す華麗な人糞よりも立派な大きさで、猫のサイズでとは思えない。いや、もし、人間サイズの猫がいるとしたら、話は別だ。でも私は今まで成人男性より身体の大きな猫を見たことがない。

朝露がまぶしく光る植物の前にあるウンコ。
そのウンコに、数えただけでもハエが6匹。
皆さん、ご存知ですか?朝からハエは元気です。
「ねえねえ、このウンコ、誰のウンコか知ってる?」
優しくハエに語りかけてみたものの、一匹たりとも私に見向きもせず、ウンコに夢中になっていた。
この世の中、こんなに集中できる事があるんだね…。羨ましい。

神様、ウンコが自然に消えますように…。
全てを見なかった事にして、シャッターを閉めた。秋風に吹かれて、若干のウンコ臭が私の鼻先をくすぐったからだ。
気温が上がる日中も網戸にしていたら、スカトロ部屋かと疑われ、結婚がますます遠のく。

その日の午後、やっぱりウンコの行方が気になって、もう一度シャッターを開けた。
まさかの、ウンコが増えているの巻。

どうして…?犬?猫?やっぱり…ヒト??
もしかしてだけど、シャッターを開閉するたびに、ウンコが増えていくシステム?
留守の間に、マンションのシステムが変わった?
そういうセキュリティー??
ハエも何だか増えたような気がする。お友達を連れて来たのだろうか?仲が良いのは結構なことだ。

私のウンコでもないのに、私が片付けるべきなのだろうか?
それとも管理会社に、ウンコの始末を頼むべきなのだろうか?
私のウンコだと疑われないだろうか?
押し寄せる疑問を払拭し、神に祈った。
頼むから、これ以上ウンコが増えませんように。
フン!!

それから1ヶ月後、私は引っ越しをした。
庭のウンコを置き去りにして。
風と共に去りぬハエも、置き去りにして…。

秋2

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